2022/03/01 16:12

動画の文字起こしをしたものです

今日はお母さんお父さんのお勉強講座第7弾ということで、これから必要になってくる能力、あるいはこれから問われる能力についてお話をしていきますが、みなさんは「認知能力」、「非認知能力」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

認知能力というは、一言でいうと、みなさんがイメージされる頭がいいと言われているようなことの能力です。例えばIQが高い、そういうようなことができる、問題が解ける、論理的に施行することができる、計算が速いとか、基本的には「数値化」できることが特徴です。そして社会で成功していくためには、数値化できる能力が高いと有利だと言われています。受験の産業あるいは日本でいうお勉強のイメージというのはまさにこの認知能力をいかに高めていくかということに尽きると思います。そうすると非認知能力というのはどういうことかといいますと、数値化できない能力のことです。例えば、自己肯定感、自分だったらこういうことができると思えることだったり、意欲・モチベーション・やり切るぞという忍耐力、それから人と協調できるようなコミュニケーション能力、そうしたことあるいは自分の感情を見つめたりするようなことです。数値化できないもの、こうしたものを「非認知能力」言います。先ほど申し上げた認知能力、日本の教育ではこの認知能力と言われるようなものを向上させていくために教育というものがあったんですが、ここ数十年でAI、コンピューターが格段に進歩したために、数値化できるようなものはコンピューターができるというような状況になってきました。実際、職業向こう10年とかで、何十パーセントの職業がもうなくなってしまうと、コンピューターに取って代わられてしまうというような研究を、海外、日本もうそうかもしれませんが世界中の大学の研究機関が発表したりしたものを聞いたことがあると思います。
特に膨大な資料を処理したり、数字を演算処理していったりするのはコンピューターの得意分野ですから、そうしたところに人間の勝ち目はないわけです。こうしたときに人間の心の内側にあるような価値であったり感情的なところとかそういうようなものが注目されるようになったのではないかと思います。この非認知能力ですけれども、もちろんアメリカの方がおそらく研究は進んでいまして、小学校に入る前に非認知能力を高めるようなプログラムを組んで、実際に受けた子と受けてない子をどうなっていくのかというのを追跡調査をして40歳くらいまでになるまで、つまり40年以上前からこの非認知能力を研究している人がいて、実際にどういうような社会的ステータスの違いがあるのかというのを調べた報告があるのですが、それによると非認知能力が高かった、そのプログラムを受けて高めていった子の方が社会的には成功している状態が多かったという研究があるそうです。でも実際に非認知能力と言ってもどういうものなのかというと、なかなか想像つきにくいと思うのですが、僕が見たところで、これわかりやすいなと思ったのは「魚捕り」に例えている人がいました。魚捕りをする場合に、例えば罠を作らなければいけない、しかも簡単に作れないのでひたすら作る、そういうときには集中力が必要です。地味な作業ですから。集中力が必要で、じゃあその罠をどこに仕掛けるのかというのに直観の力も必要ですし、それから仕掛けたポイントがずれていると当然魚を捕らえられないわけですから改善していかなくてはならないので、自分のしてきたことを反省したり、改善したりすることの能力ですね。それから魚は捕れないからといって、「もうやめた」と言わずに諦めずにじゃあ次こうしてみようああしてみようという能力。一方で、そう諦めないでいても捕れない日もあるわけですから、そうしたときは、今日は雨降った次の日で水が濁っていたから捕りにくかったんだといって楽観的にとらえることができる能力、それから一緒に魚釣りに行った友達と協力して一匹でも多く魚を捕るためのコミュニケーション能力というか、協調性といいますか、そうしたことも必要だと。こうしたものが非認知能力と言われているものだそうです。

こうしたものをいったいどうやって鍛えることができるのかというのは、なかなか難しいと思うんですね。こうやったからこうできるというのもなかなかできないですし、そもそもそうしたことを重視してこなかったのが日本の教育ですから、いきなりそういう非認知能力を鍛えようと言ってもどうしたらいいかわからないと考えられるのももっともだと思います。例えばですが、学校から帰ってきた子どもに「今日は何があったの?」と何をしたのかと行動を聞いてるわけです。「どうだった?」とその結果を聞くと、例えば「今日何があったの?」というと、「グループディスカッションがあった」「どうだったの?」と聞くと、「こうこうで言い負かされた」あるいは、「相手を言い負かした」とか、そういうことがあるかもしれません。あるいは、いつも通りだったら「普通」「昨日と一緒」というような答えも返ってくるかもしれません。その中で、「宿題やったの?」や「終わってないなら早くしなさい」というような会話が日常的にあると思うんですけれども、今言ったようなことの中には認知的なことしかないわけです。相手の感情に踏み込んだようなことは一切出て来ていないので、こういうような会話がずっと続くとお子さんが感情豊かに自分の気持ちを肯定していくというような、それを醸成するような時間がないわけです。常に時間に追われて、「あれやったの」「これやったの」「どうだったの?」「ああだったの?」って言うと、自分はこう思ったとかこういう気持ちになったっていうのをじっくり見守ってもらう期間というのがないのでこうした時間を意識的に作る、子どもが自分の内側とどうやって向き合っていくか、今自分はこういう気持ちなんだけどといった気持ちを持っているときに一緒に共鳴してあげるとか、その気持ちと向き合うという時間を作っていくことが重要だそうです。この非認知能力ですけれども、スポーツの世界の方が早く注目している専門家の方がいて、「スラムダンクの勝利学」という本を書いた辻秀一さんという方がいらっしゃるそうなんですけれど、その人の記事を読んだところによると、この方が注目したアスリートが2人いるということです。1人はもうアスリートではありませんが、元メジャーリーガーのイチロー選手。イチロー選手の話はいっぱい書いてあったんですけれども、印象的だったのは彼が引退をするときの最後の言葉が「もうお腹空いちゃいました。」というような言葉を言いました。これは一見すると配慮のない言葉のようなにも思えるんですが、自分の内側の気づき、自分がこういう風に感じているということを言語化しその場の雰囲気ですね、自分が引退するからこう求められるものだったりというので空間支配されている中に、自分の気持ちを入れることによって支配されないようにして、自分の気持ちと向かい合ってるということで、重要な能力のひとつだそうなんですけれども、そのようなことが言えるというのに注目しました。もう一人は、現役のキックボクサーで40戦以上していて無敗の那須川天心選手、まだ若干22,23歳で、その彼に辻先生がお会いする機会があったそうなんですが、この辻先生はアスリートに会うと「機嫌がいいとどうなりますか?」という質問をするそうなんです。人間は基本的に「どういうときに不機嫌になりますか?」というと、饒舌に語れるそうなんです。嫌がらせされたとか、うまくいくはずだったことがうまくいかなかった時とか、小さいことを含めて嫌なこと不機嫌になることいっぱいあると思うんですけれども、「機嫌が良くなるとどうなりますか?」という質問に対してはなかなか皆さん言語化できないそうなんですが、この那須川選手は非常に饒舌に語ってくれて、「こういう状態ならこういう状態だ」というようなことを言っていたそうです。それはですね、自分の内側と向き合うという訓練をしていないとなかなかできないそうです。なぜそういうことができるようになったのか、この辻先生は興味をもっておそらく那須川選手と話をしたと思うんですけれども、その時に気づいたことがお父さんの教えが大きいんじゃないかということで、リングに上がる上で重要なことは、「心を整えること」だということを小さい頃から教わってきたそうです。心を整えるためには自分の過去、例えば41戦無敗であるのは、過去のことですけれども無敗であることに常に心をとらわれている、過去にとらわれているとなかなか難しいです。未来のことは次はこういうことがあるああいうことがあるという先のことに捉えられていても、やはり心が整わないので今目の前にあることっていうものにいかにフォーカスを当てると、こういうようなことが非認知的な能力になるそうです。こうした非認知の能力があることによって、自分の感情というものと向き合えるようになりますので、コントロールできるのでなにか難しいことを考えなくても社会で生きていく上で感情をコントロールできない人というのが、人と衝突しますし、何をするのもムラが出てくるので信用されないというのってなんとなくわかると思うんですけれども、そうしたことの一つだと思っていただいて良いのではないかと思います。ですからこうした感情と向き合うためには、自分の心と向き合う時間を設けてですね、それからご両親ができることとしてはその気持ちを育てる自分を向き合う時間を育ててあげる時間を1日の中で作っていってあげるということが重要なんじゃないかと思います。

今は、そうしたことの重要性というのはいわゆる教育の中ではあまり言われてきません。言われてこなかったですが、これからはAIの発達ともに大学入試なんかもいろいろ変わってきたのでそうした今まで注目されなかった能力というものが非常に注目される時代が来ると思いますので、これをご覧になってるお母さんお父さんはちょっとそうしたことを意識してお子さんと接していただけるといいと思います。