2025/09/22 15:00
本日は、総合型選抜入試の提出書類の一つである志望理由書について話をしていきます。今回の話は、書き方というより皆さんがよく書くNG表現についてとなります。今回のNG集は、「日本語として間違っている」というより、「表現を変えるともっとよくなるよ」というものに絞って話をしていきたいと考えています。
というのも、文章を書きなれていな人が、一定以上の量の文章を書くと、どうしてリズムが単調になったり、表現が一緒になったりしてしまうからです。そして、多くの高校生は長い文章を書くことに慣れていないはずですから、多くの人に参考になるものになるでしょう。
① 「考えた・感じた・思った」の連発
一つの段落のなかに何度も「考えた、感じた、思った」といった表現が連発している。文章は論理関係だけではなく、リズム感や適切な語彙の使用も重要です。同じような語尾が続くと、単調なリズムに感じられ読み手をあきさせます。
NG例
私は中学生の頃、地域の運動イベントに参加したときに、運動が人を元気にする力を持っていると感じた。そのとき、将来はスポーツを通じて人を支えたいと思った。さらに、高校でボランティア活動に取り組む中で、人々の健康と生活の質の関わりについて深く考えた。大学のオープンキャンパスに参加した際には、専門的に学べばその思いを実現できると強く感じた。だからこそ、私は貴学で学びたいと思った。
改善例:
私は中学生の頃、地域の運動イベントに参加し、運動が人の表情や雰囲気を明るく変える力を持つことを実感した。その経験から、スポーツを通じて人を支える仕事に関心を抱くようになった。さらに高校でのボランティア活動では、健康と生活の質が密接に結びついていることを理解した。また、大学のオープンキャンパスでは、専門的な学びによって自分の関心を具体的な形に発展させられる可能性を確信した。こうした経験の積み重ねが、私を貴学での学びへと導いている。
「確信した」「実感した」「学んだ」など他の言葉を使う。
② 「私は~したい」の多用
志望理由書には、未来の展望や大学で学びたいことを書くわけですから、どうしても自分の「したいこと」を書くことになります。そうすると、語尾が「~したい。」ばかりになってしまうことが珍しくありません。これも①と同様、単調なリズムに感じられ読み手をあきさせます。
NG例:
私はスポーツを通じて人々の健康を支えたい。そのため、大学では運動と心理の関係について学びたい。そして、将来は地域の子どもたちに運動の楽しさを伝えたい。
改善例:
私はスポーツを通じて人々の健康に寄与したいと考えている。そのため、大学では運動と心理の関係を体系的に学び、将来は、地域の子どもたちが運動を楽しみながら成長できる環境づくりに貢献する。
「目指している」「~していく必要があると感じている」「貢献する」などに置き換える。
③ 「頑張った」だけで終わる表現
志望理由書には自己PRの側面がありますから、一般的には、自分が頑張ってきたこと、あるいは大学時代に頑張ってみたいことを書くことが望ましいと言えます。しかしだからといって、そのまま「~を頑張ってきました」あるいは、「~を頑張っていこうと思います」の乱用をすると、これもやはり読んだときに同じ語尾ばかりが続き単調な文章に感じられます。
- NG例:
部活を頑張ってきたので、そこで培った根性で大学時代も頑張りたいと思います。
改善例:
部活では最後まで走りきることを意識し、毎日練習ノートをつけ続けたので、大学時代も『諦めない』と『継続』をテーマに活動を続けていく予定です。
「どのように頑張ったのか」を具体化する。
④接続詞の使い方がおかしい
日本語は、英語ほど因果関係を始めとした論理的なつながりに対してうるさくない言語だと言われているためか、論理に飛躍がある文章を目にすることが少なくありません。特に因果関係に関連する接続詞を使う際に、おかしな文になることが多いので、十分に注意してください。
NG例:
現在の日本の教育制度は、日本語を母語としない外国人児童に対して十分なサポートをしていると言いがたい。そこで、私はスクールソーシャルワーカーとなってこの問題を解決したい。
改善例:
現在の日本の教育制度は、日本語を母語としない外国人児童に対して十分なサポートをしていると言いがたい。たとえば、アメリカでは英語を話せない児童に対して、・・・・(略)。また、オーストラリアでは・・・・(略)。こうした他の先進諸国が、どういう制度で外国人児童の言語問題をサポートしているのかを貴学で学び、将来はスクールソーシャルワーカーとなって、・・・。
接続詞で簡単に話を済ませる前に、具体的な文を書いて伝えたいことを明確にする。
論理関係が①おおげさ ②飛躍 ③矛盾 していないかどうかをチェックする。
⑤曖昧ワードの多用
- ありがち例:「様々な経験」「きちんと努力」「とても頑張った」
- 改善例:「3年間のボランティア活動」「資格取得に向けた毎日の英単語テスト」「週5日の練習」
曖昧語を「数字」「回数」「具体例」で言い換える。