2025/09/23 15:44

本日は、上智大学の公募推薦入試で出題される「課題レポート」の書き出しについて話をしていきます。上智大学の公募推薦入試においては、自己推薦書と課題レポートを提出しなければなりません。まさに、この時期みなさん苦労して書かれていることでしょう。おそらく、ほとんどの方は何を書くかは決まっていて、最後の仕上げに入っているかと思います。そして最後の仕上げにしなければならないことの一つは、出だしの工夫です!どうやってレポートが始まるかによって、読み手に与える印象が変わります。また、それだけではなく、レポートの構成を決めるものにもなりうります。

 

今日はその書き出しの中でもこんなパターンがありますよ、というもの5つを紹介したいと思います。5つのパターンのポイントと例文をあげていきますが、分かりやすくするために、ここでは例文はすべて「外国にルーツをもつ子どもの教育格差」というテーマで示します。


  1. 問題提起型
  • 「問いかけ」から始めることで、読み手の関心を引き込む型。
  • 論点を「事実そのもの」ではなく「解釈の仕方」へ広げるのがポイント。
  • 課題レポートでは、この問いが論述全体の方向性を決める「問題設定」になる。

日本の学校に通う子どもたちの中には、外国にルーツをもつ子どもが少なくない。しかし、言語や文化の違いにより学習機会に格差が生じている現状を、私たちはどのように受け止め、改善していくべきだろうか。

 

  1. データ提示型
  • 客観的な統計や事実で始めるため、説得力や信頼性を高められる型。
  • 単なる「数字の羅列」で終わらせず、そこから「人間的な意味」へ接続することが重要。
  • 課題レポートでは、議論の土台を「データ」に置くことで論証性を強められる。

文部科学省の調査によれば、日本に在住する外国籍の子どものうち、およそ2割が学校に通っていないとされる。この数字は、教育を受ける権利が必ずしも保障されていない現実を示している。

 

  1. 理想を描く型
  • 誰もが共感できる「理想像」から始め、読者をポジティブに引き込む型。
  • ただし、必ず「現実との差」を指摘することで、課題意識を明確化する。
  • レポートにおいては「理想=ゴール」「現実=出発点」を提示することで、議論の枠組みを示せる。

すべての子どもが平等に教育を受けられる社会――それは国際社会が共有する普遍的な理想である。しかし、日本の現状を見ると、言語や文化の壁によって、その理想が十分に実現されていないことがわかる。

 

  1. 名言やことわざを引用する型
  • 権威や普遍性のある言葉を使うことで、導入に「重み」を与える型。
  • 名言そのものに頼りすぎず、自分の議論にどう接続するかがカギ。
  • 課題レポートでは「理念と現実のギャップ」を見せる切り口として効果的。

「教育は万人に与えられるべき基本的人権である」。ユネスコの理念を体現するこの言葉は、教育の普遍性を示している。しかし、日本社会には、この理念をすべての子どもに行き渡らせることができていない側面がある。

 

  1. 歴史的背景や現状から始める型
  • 「過去から現在への変化」を提示することで、問題の背景を自然に示す型。
  • 歴史的経緯を踏まえると「なぜ今この問題が重要なのか」が理解されやすい。
  • 課題レポートでは「現状の必然性」を論理的に説明できるため、説得力が増す。

日本は戦後、外国人労働者の受け入れや国際結婚の増加により、多文化社会としての側面を強めてきた。その結果、外国にルーツをもつ子どもも増加したが、教育制度は依然として“日本語母語話者”を前提とした設計のままである。この構造的なギャップが、教育格差の一因となっている。


 まとめると:

  • 問題提起型 → 論点の設定力
  • データ提示型 → 客観性と論証性
  • 理想型 → 共感と枠組み提示
  • 名言引用型 → 権威付けと理念の提示
  • 歴史型 → 背景理解と問題の必然性


これらの書き出しを参考に、自分の書きたいテーマに合わせてアレンジすると効果的です。また、書き出しは読者を引き込む大切な部分なので、内容に合ったインパクトのある表現を意識してください。ちなみに文系の学部ですと、下記の組み合わせが書きやすいと思います。

哲学科や法学部 → 問題提起型・名言型が相性良い

社会学科や教育学部 → データ型・歴史型が強い

・国際系学部 → 理想型・名言型で価値観を強調しやすい